求人広告掲載のお申し込み

仕事を円滑にする職場の人間関係学

説得と根回し

大きな仕事ほど、関係者の承諾なしには実現不可能だ。「説得」とは自分の意見を相手にわかってもらうために説くこと。「根回し」とは事前に関係者の意向を聞き、暗黙の了解をとりつけておくことである。共に技術が必要だ。

自分ひとりでできる仕事は限られているから、しばしば他人に協力してもらったり、味方になってもらうことが必要になる。「人の力を使う」ことを覚えると、仕事はずっとやりやすい。

他人を動かすコツを心得ておこう。

同僚に仕事を頼むとき

明日までの仕事が急に入って、ひとりで残業しても間に合わない。あるいは企画立案のため、同僚の協力がいる...こういうときは、相手の気持ちをうまく誘導し、やる気をおこしてもらうことが必要である。

  1. 任せてもいい仕事か

    万一、仕事が失敗したときのことを考えて、責任の重い仕事は自分でやるべきだ。

  2. 人選は間違いないか

    気軽に頼める人を選ぶだけでなく、最後まで責任をもってやってくれるのか、仕事を理解できるポジションにいるかを考えよう。

  3. 内容を正確に伝えたか

    いつまでに何をすればよいのかを、きちんと伝達する。複雑な内容ならばメモをとってもらう。こちらはわかってもらったつもりでいても、相手は誤解していることもある。頼んだ内容を復唱してもらう気配りも必要だ。

  4. 順調に進んでいるか

    途中で一度「どんな具合?」と様子を見る方がよい。もし方法などに訂正する部分があっても「さっきは、こう言ったのに」などと怒ってはいけない。手伝ってもらっているのだから、「悪いけど」の一言を忘れずに。

  5. 終わったら「おかげさまで」

    自分のためにがんばってくれた相手には、必ず感謝の言葉をかけよう。

社内の反対者を説得する

意見の違う上司を説得するとき

上司と意見が食い違ったときに、自分の意見を主張するには、細心の注意が必要だ。上司の意見を頭から否定してはいけない。

まず、上司の説明は最後までよく聞く。「ちょっと待ってください、それは...」などと途中で口を挟まないこと。

説明を聞き終わったら、まず上司の案のよい点を認める。たとえば、目的には賛成だが自分なら違う方法を提案したい、という場合なら「なるほど、○○を○○するというわけですね」と大筋を復唱してうなずくなどする。

一呼吸おいて「ところで、○○の点なのですが、たとえば...したらいかがでしょうか」とやんわりと提案すること。あくまでも上司に決定を委ねる形にもっていく。そのためには、複数の案を提示するのもよい。

上司が考えてくれる気配を示したら、自分の案のメリットを具体的に説明する。そのときには「私の案ならば」「私の考えでいきますと」などというセリフを連発せずに、つとめて謙虚に、すでに上司に差し上げた案は上司のものというつもりで話すこと。

反対理由を聞いて対応する

自分の案に対する反対者を説得するには、当人の話しをよく聞き、なぜ反対しているのか、その理由をしぼりこんでいく。

「予算がない」「前例と違う」「技術的にムリだ」など、反対理由がわかったら、そこに焦点を当てて解決の方法を考え、順序立てて説明していく。

その場で対応できない問題は、ムリに議論せず、考え直して出直すほうがよい。

ときには折れることも大事

会議中、自分の案を出してみたが、どうも形勢不利。こんなときは、引き下がることも大事だ。

まず一歩引いて、反対案のなかに自分の案を生かせないかどうか、考えてみる。いつまでも自分の案に固執していると「またか」と思われてしまう。

ただし、ここぞというときは「これがわが社のためになる」との確信をもってとことん粘ろう。「あの人がそんなにいうのなら」と心を動かす人もいるはずだ。

社内での根回し

会議などで自分の案を通すため、あるいは部課の事業の実行のため、前もって非公式に関係者の意向を聞き、了解をとりつけておくことを「根回し」という。日常ひんぱんに行われる活動なので、そのポイントを把握しておきたい。

社内の人脈を理解する

対象となる案件に、誰がどのように関わるのか、把握しておくことが必要だ。決定権を持つのは誰と誰なのか、その人たちに影響を及ぼすことができるのは誰か、などである。

たとえば日常的な例で、課長に自分の案を採用してほしいときは、課長がふだん頼りにしていて「○○君はどう思う?」とよく相談を持ちかける先輩に、後押しを頼んでおくとよい。

課長の仲のよい他の上司に相談する手もある。

会議によって決定される場合には、予想される出席者に根回しをしておく。

社外の関係者もチェック

決定権を持つ上司に影響を与える社外の専門家や、事業によって影響を受ける社外の関係者なども考えてみる。

たとえば、新地域へのスーパー建設計画なら、大型店の進出によって売り上げに影響を受けそうな地元商店会へ根回しをする。便利になる一方で、工事の騒音や建設後の問題などもある。付近住民への根回しも必要だ。

交渉上の注意

根回しは非公式なものだから、相手に迷惑がかかるようなことがあってはならない。また、決定までは部外者に伏せておかねばならない事項も多い。

根回しする相手の都合のよい時間、落ち着いて話せる場所を選ぶ。

こちらの考えを一方的に説明するのではなく、相手に相談して意見を聞く形をとるほうが受け入れられやすい。相手に考える余裕を与えるために、日時は余裕を持って設定しよう。もしも反対されたら、何度でも出直す覚悟で。

修正意見が出たときは、なるべく取り入れる方向で考えたい。そのほうが「この件に自分も関わっている」という相手の参加意識も高まるからだ。

取引先を説得する

取引先の説得にも、根回しが必要になることが多い。

取引先の根回し

たとえば、新しい作業機械の購入を決定してもらうための根回しを考えてみよう。

購入を決定する立場にいる人だけでなく、次のような人にも接触するとよりスムーズにいく。

  1. 使用する現場の責任者=作業上のメリットを説明し、現場サイドの意見として購入を希望してもらうよう働きかける。
  2. 技術担当者=機器の構造、性能、取り扱い、アフターケアなどを説明し、技術的な面での不安が出ないようにする。
  3. 経理担当者=機器購入で作業を合理化することによって、経済的なメリットが生じることを説明する。
  4. 購入の担当者=購入の手続きに面倒がないよう、便宜をはかる。書類作成に協力を申し出る、などである。

社外でも社内でも、根回しを成功させるためには、日頃から広い人脈を作っておくことが大切だ。